プラークコントロールの真の正しいあり方
平成13年2月20日
プラークコントロールと言いながら、ただの歯磨き。
プラークは常時、皆無にできるものではない。
プラークは、口腔常住細菌ともいわれ、口腔の健康に寄与するもの。
しかしこれが増殖・停滞した場合に、疾病の原因と変化する。歯垢の存在の位置とその量の多さを患者自身が認知し、患者自身が口腔内の状態を見定める事により、その除去を自分で可能にする努力と技術を身につけなければならない。
そのように口腔の全域、あらゆる場所を見ることと、付着する歯垢を害の無い方法で除去できる技術を養成するのが、療養指導の任務であり使命であると言える。
それに到達できる指導は、適当な用具を用いる事が必須条件といえる。それが歯ブラシであり、オーラビューミラー(口腔内照射拡大検視装置)である。
この二つの器具の完全有効な使用方法は、あらゆる場所の付着停滞を除去する事であって、ある場所だけとか一部分の除去が完全であれば、その場所の健康は回復され、維持されると考えるのは間違いである。
つまりある場所を除去し清潔にしたとしても、歯垢は他の場所から容易に、ごく短時間で移動するので、回復場所には何の効果も意味合いも持たない。
その点を患者に理解させ、行わせるのがプラークコントロール指導の第1である。
第2はプラークコントロールの意味合いは、除去し減少させる事で効果を期待するのではなく、その場所に増加し停滞することを不可能にすること。
一口に言えば、付着増加を邪魔することであってとしても、すでに病状を表わしている場所などは、歯ブラシでは無害に歯垢を除去することは出来ない。
その場所の歯垢の除去は、歯科医師あるいは歯科衛生士の手によって除去され、付着しにくくする処置を行う以外に方法はない。それがルートプレーニングである。
プラークコントロールと同時にルートプレーニングについて、十分に理解出来るよう指導する事をこれからは強調していかなければならない。
プラークコントロールについての観方・考え方プラークコントロールは歯牙う蝕症に対しては完全な予防対策の一つであるが、歯周疾患に対しては治療方法の大きな柱であると言える。
したがって歯周組織疾患に対する治療は、プラークコントロールの技術が高度に要求される。
言いかえれば、それはその技術の如何によって、治療成績は左右される。そこで問題になることは、プラークコントロールの技術が歯科医療者の手によってのみ行われるので、治療の成績が左右されると考えられやすいことである。
それよりも、プラークのコントロールされた治療に効果的に役立つ状態がいつまで保たれ続けるのかが非常に問題である。口腔常住細菌の形成する歯垢は、細菌の発育再生の速度、時間によって元通りになれば、それまで以上に増殖する。
その時間的な問題が日常臨床でどのように考えられ、取扱われているか、もう一度見直し、考え直す必要があると思う。言うまでもないが、歯垢をコントロールした良い状態は、ごく短時間、菌の種類の多くのなかのそれぞれの性質によって長短はあるとしても、せいぜい2〜3時間と考えるべきであろう。
その時間が組織回復の時間に役立つか、組織回復も時間がまちまちであったとしても、回復し、抵抗力を持つ組織に変わることの出来る時間ではあり得ない。
その事と臨床の日常の間にどのような考え方と治療方法が取られているかが問題だと思う。日常臨床で歯周疾患の主な症状の第1は、歯肉炎の場合を取り上げて、治療の処置は歯垢の除去。
出来るだけ完全な歯垢除去を心掛け、ポケット内面の歯根面の付着物全体を除去することにある。だが、その歯垢除去の処置による効果があるとしても、そのような効果的な状況が何分・何時間・何日続けば効果が出るのか。
それが数時間で元通りの歯垢の付着状態になるとすれば、それでも効果がでるものか。